男性看護師が活躍する精神科病棟の仕事内容を教えるぞ!

こんちゃす皆さん、おしです!今回の記事は精神科病棟のお仕事と大変なことのご紹介です。

ここ数年で男性看護師の人口が一気に増えてきていますが、男性看護師が活躍できる・重宝される場として精神科病棟があります。

僕はかれこれ3年ほど精神科病棟で働いてきましたが、確かに男性の割合が多く皆さん重宝され活躍されています(僕も輝いているはず笑)

ただ、その働いてきた3年間の中には楽しいこともあれば大変なこともいっぱいありました。

今回はその精神科病棟における仕事内容と大変なことについて僕の経験談を書いていこうと思いますのでお時間あれば覗いて行ってくださいね٩꒰๑╹ω╹๑ ꒱۶

本記事は僕の病院と僕の経験を踏まえて作成しています。看護師として、また精神科のスタッフとしての基本の考えは一緒かと思いますが、病院により微妙に違う点があると思うので、その点は悪しからず・・・。

精神科病棟の特徴

閉鎖病棟がある

精神科病棟は消化器内科や循環器内科などの一般身体科と比べると大きく特徴が異なります。精神科病棟の大きな特徴として閉鎖病棟がある病院がほとんどです(開放病棟しかない病院はおそらくないと思いますが・・・)。

閉鎖病棟と聞くだけでなんかホラー映画やホラーゲームなどから怖いイメージがあると思います(下記画像の様な感じ)。

画像引用 リンポウアカデミア

確かに昔の閉鎖病棟は頑丈な檻があって怖いイメージでしたが、今時の閉鎖病棟はそんな映画のような閉鎖病棟は少なくなっており、明るいイメージの病棟が増えています

画像引用 平和会 吉田病院 精神科スーパー救急病棟

こんな感じです。こちらの画像は「平和会 吉田病院の精神科スーパー救急病棟」のものを引用させていただいたのですが、どうです?明るい病棟でしょう。僕の病院もこんな感じで明るい病棟になっています。

画像引用 豊司会 新門司病院 精神科病棟デイルーム

こちらも精神科病棟のデイルームの画像になります。こちらも非常に明るい病棟になっていますね。

ただ、閉鎖病棟の特徴として24時間施錠管理されており解錠するにはスタッフが持っている鍵が必要ということがあります。こういうとまた悪いイメージがついてしまうかもしれませんが、これは患者さんの安全のための処置で、病状が落ち着いている人であればスタッフが解錠して散歩や外泊などに行くことができます

また、病棟内に持ち込める生活物品も一般病棟と違い制限があります。例えばハサミなどはリストカットのリスクがあるので持ち込みができません。スマホなどの通信機器も幻覚妄想症状の増悪のリスクがあるため持ち込みができない場合もあります。

一方で開放病棟という病棟もあり、こちらは夜間などは施錠されているがお昼の間は解錠されているといった病棟になります(ひょっとしたら24時間解錠されている開放病棟がある病院もあるかも?)。

保護室がある

もう1つの大きな特徴として閉鎖病棟には保護室があります。これはその名の通り患者さんを保護する目的の部屋です。

画像引用 成仁病院

保護室の外観はこんな感じです。頑丈な扉が閉じられているので牢屋のようなイメージを持ってしまいますが、昔の保護室と比べると圧倒的に綺麗で明るい作りになっています。

画像引用 成仁病院

こちらは保護室の中の様子です。この画像だけでは細かな作りは判断できませんが、患者さんの保護のために壁がクッション素材だったりします。トイレも過飲水をしてしまう人が時々いるので保護室内からは流せないように設定することもできます。縊死(首吊り)を防ぐために手すりなどは一切付いていません。

不便に感じるかもしれませんが、これらは全て患者さんの安全のために行なっています。

こちらの成仁病院の保護室は大きな窓が付いているので保護室内での患者さんの行動がはっきりと確認できますね。僕の病院は扉に付いている小さな窓ガラスからしか確認が取れないので羨ましいです。

また画像からも分かる通り保護室内には監視カメラが付いていたりもします。ナースステーションからも患者さんの様子が分かるようになっています。プライバシーないじゃん!と思われるかもですが、あくまで保護の目的のみで使用するので、それ以外の目的で使用する事はありません。

どんな患者さんがこれらの保護室を使うかというと、統合失調症の幻覚妄想症状が激しく興奮している人、うつ病により自殺企図(自殺をしようとする)のリスクが高い人、他人へ危害を加えるリスクがある患者などです。

普通の大部屋ももちろんある

上記で保護室の説明をしたので精神科=保護室しかないイメージがつくかもしれませんがそんな事はありません。ちゃんと3人部屋、5人部屋などの大部屋もあります。入院時に保護室での保護が必要ない人や最初は保護室を利用していたが治療により病状が改善した人は大部屋に出ます。

精神科病棟に入院される患者さんの疾患

では、そんな精神科の閉鎖病棟に入院してくる患者さんにはどんな疾患の人がいるのかを解説します。

病名 概要
統合失調症 以前は「精神分裂病」と呼ばれていた病気で、現在は「統合失調症」という病名になっています。見えないものが見える・聞こえないものが聞こえるといった幻覚症状や妄想症状を主とした精神疾患です。
うつ病 「気分が憂鬱である」「落ち込みがある」などの症状がある疾患です。自分の身辺のことなどから起こるタイプや認知症などでも起こりえます。抑うつ症状が強いと自殺企図(自殺しようとする)といった行動などを起こすことがあります。
躁うつ病
(双極性障害)
躁うつ病は上記のうつ病に加え、躁病(テンションが高い状態)を起こし、その両方を繰り返す疾患です。落ち込んでいたかと思えば急にテンションが高くなるといった経過を辿ります。こちらの疾患ではうつ病相による「自殺企図」や躁病相による生活の破綻(他人への迷惑行為やお金の浪費など)が起こることがあります。
摂食障害 一般的には「拒食症」と呼ばれている疾患です。ダイエットなどを契機に過度に体重を減らした結果、体のバランスが崩れ、最悪低体重による死亡の危険性も出てきます。こだわりが強い人や完璧主義な人がこのような行動を続けると起こしやすい疾患です。摂食障害の人たちは食事を極端に制限したり、食べ吐きを繰り返すなどの行動をとることがあります。
その他 薬剤性の精神病、認知症、アルコール依存症、薬物依存症、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、不安障害、パーソナリティー障害など

上記が精神科病棟に入院してくる患者さんの疾患になります。こられの疾患は全て患者さんの安全のために保護室適応になる可能性があります。

精神科病棟での役割

ではこの記事の本題に入ります。そんな精神科病棟での仕事の内容について解説していきます。

患者さんの日常生活支援

こちらは精神科に限ったことではなく看護師全体の業務そのものですが、精神科でも特に大切な業務の1つです。なぜかというと、上記で記載した疾患を患っている患者さんは日常生活が破綻しやすいからです。

例えば飲食。統合失調症で幻覚妄想が激しい人やうつ病で落ち込みが強い人、認知症などでは自ら飲食をすることができないことがあります。飲食をしなければもちろん体の機能が落ちてしまいますので我々看護師はそれらを支援する必要があります。飲食のための定期的な声かけや見守り、介助を行います。

上記と同様にそういった患者さんはシャワーなどの保清や排泄のコントロールもできなくなることが多いです。保清ができない人に対してシャワー浴の介助や全身清拭(タオルで体を拭くこと)を行います。排泄のコントロールに関しては定期的な声かけや薬の促し、浣腸(お尻から浣腸液を入れて排泄させること)や摘便(直腸に指を入れ便を掻き出すこと)を行います。

全身状態の観察

こちらも精神科特有ではなく看護師としての業務そのものですが、日々患者さんの全身状態を評価して必要な支援の計画を立てて行動します。先ほどの飲水や保清ができていないとなっていればそれらを支援します。状態悪化時は医師に報告します。

精神科の治療のメインは薬物治療になりますので、薬の効果を評価したり副作用の有無を観察します。精神科の薬物療法では「便秘」が起こりやすいので、便秘に対する支援を行うことも多いです。

配薬

薬を配ること自体は一般病棟でも普通に行なっていることですが、精神科の治療のメインは薬(内服)による薬物療法なので、確実に薬を飲んでもらえるように支援します。

精神科病棟に入院している人は「自分は病気ではない」と認識し薬を飲もうとしない(拒薬)患者もいるので、そのような人に薬に対する思いを傾聴し飲めるように声かけをしていきます。

中には薬を飲んだふりをして看護師が離れた後にぺっと吐き出して捨てる人もいるので確実に内服したことを確認する必要があります。

幻覚妄想患者への対応

こちらは精神科病棟特有のものと思います。上記疾患のところで述べた通り統合失調症や躁うつ病の躁病相では幻覚妄想症状が出現する可能性があり、症状が強いと他人への危害を加える可能性があります。

そのような患者に対し精神看護師は症状が抑えられるように投薬を行なったり、保護室で連れていき休養を取ってもらうなどして支援します。

自傷他害のリスクが非常に高いような患者の場合は隔離だけではなく拘束を行うことがあります。

電気けいれん療法

画像引用 弘前愛成会病院

こちらも精神科病棟特有のものになります。全身麻酔下で頭から人為的に電気を通電させ全身痙攣を起こさせる治療になります。この治療治療自体なぜ効くのかが医学的に解明されていませんが効果は絶大です。適応の主は「うつ病」ですが、統合失調症などにも行われる場合もあります。

この治療に対し精神科看護師は治療に向けてのオリエンテーションや絶飲食の管理、点滴留置、搬送などの介助を行います。

全身麻酔下で治療を行いますので術後の呼吸管理と全身状態の観察、また電気けいれん療法では頭痛や筋肉痛などが起こりやすいのでそれらの観察を行い、必要時は痛み止めを投薬します。

検査の介助

腰椎せんし(ルンバール)の様子
画像引用 坂総合病院 研修医・医学生の広場

精神科は他の一般科と比べ検査は少ないですが、精神疾患なのか神経疾患なのかの鑑別のために腰椎穿刺(ルンバール)を行うことがあるのでその介助に付いたりします。

他には認知症疑いの患者に行う脳血流シンチやMRIのための準備などを行います。絶食や検査の前処置がある場合はそれらを指示に従い行動します。

精神科で大変なこと

幻覚妄想患者への対応

精神科病棟で最も大変なのがこれになりますね。統合失調症や躁うつ病の躁病相では幻覚妄想により興奮している場合があります。そのような患者は自傷他害(自分を傷つける/他人を傷つける)のリスクがあり、それは僕たち看護師も一緒で、僕たちにも手を出してくることがあります

僕自体は今のところ殴られたことはありませんが、他スタッフでは蹴られたり叩かれたりしている方もいます。その際は労災がきちんと降りるようになっています。今のところ障害を残すような怪我をした人はいませんが、そうなるリスクは0ではありません。

また、自分が妄想の対象になることもあります。例えば恋愛妄想があります。僕の話ではありませんが、僕の先輩(A)は恋愛妄想の対象になり、とある患者に「Aは私の旦那」という妄想を抱かれていました。

僕自身が経験したのは妄想というよりかは敵意です。とある患者に「あいつ(僕)呼んでこい」と他スタッフへ言っていたということがあります。ひょっとしたらその敵意が何かの妄想によるものなんかもしれませんが詳細はわかりません。

幻覚妄想症状抑えられない患者は隔離・拘束といった対応になりますが、興奮が強いと2〜3人では抑えようがないので大人数を確保する必要があり、そういったところも精神科病棟の大変なところです。

精神症状に振り回される

「振り回される」という表現は看護師として相応しくないと思いますが、分かりやすく伝えようと思うとその言葉が適切なので申し訳ないです。。。

幻覚妄想とは別に、躁うつ病(双極性障害)やパーソナリティー障害を持つ患者さんは色々なことを訴えてきます。その内容は真っ当なことから真っ当でないことまで様々で、その様々な意見に看護師は右往左往します。

特にパーソナリティー障害を持つ人は特有の認知を持っていることから対応困難な訴えが多々あり、それに疲弊しやすいです(その人の言動に振り回される)。

拒約時の対応

仕事内容のところでも述べましたが、精神科の治療のメインは薬物療法になります。注射製剤などもありますがほとんどは経口からの内服治療です。

しかし、精神科病棟に入院している患者さんの中には自分の病気が受け入れられず内服を拒否(拒薬)される患者さんがいらっしゃいます。

病気を受け入れられないという思いは誰しもにありうる感情なので、そう思うこと自体は仕方ないのですが、ただ実際に飲んでもらえないとなると精神症状が悪くなる可能性があるので、「どうしたらこの人が飲めるようになるか」ということを考えないといけないので、それが大変なところですね。

離院(脱走)

これはごく稀にあるのですが、病院内のみの外出が許可された患者さんが病院外に出てしまうことがあります。これは医師・看護師側の説明不足が原因ということもありますが、多くは患者さんの都合によるものです。

精神症状が落ち着き、院内のみ外出に行けるようになったような患者さんが「入院継続が嫌」という理由で病院外へ出てしまうのです。

そうなったら大変で、本人に連絡がつかない場合は警察に捜索願いを出して探してもらう必要があります。とある患者では「県外まで逃げていた」という事例がありました。

また院内にいたとしても決められた時間に病棟へ戻らなかった場合は捜索マニュアルに従いスタッフ総出で捜索に出ます。その間他の業務が進まないので残業になる可能性も出てきます。

自殺企図

これも本当に稀中の稀に起きますが、うつ病などで希死念慮(自殺したいという気持ち)が強い患者は例え保護室であってもズボンを無理やり首に巻き縊死を起こそうとする方がいます。

精神保健福祉法に基づき30分毎に観察することと、監視モニターでの観察を行なっていても、隙を見て縊死を起こそうとすることがあり、それにより急変が起きた場合は救命のための対応が必要となり病棟がバタバタになります。

さらにそれに触発されて別で危険行動を起こす方もいるので、このように負の連鎖が続いた場合は本当に大変です。

またクレジットカードのようなカード類や爪などでリストカットをしようとする患者さんもいるので、そういった人への処置やフォローも大変ですね。

精神科の書類

精神科は一般身体科と違い精神保健福祉法の元で動いています。それにより一般身体科と違い保健所に出さなければいけない書類がたくさんあります

細かな書類の説明は省きますが、提出書類の中には1週間以内に保健所に出さなければいけない書類があり、その書き方が一字一句間違えられないため書類を全て見直さないといけません。

また家族の印鑑が必要となる場合がありますが、家族が遠方にしか住んでないような方は家族に病院へ来てもらうように調整しないといけないのも大変です。

カルテ記載

精神科は精神保健福祉法を元に動いているので、カルテに記載しないといけない項目がたくさんあります。その中で1番大変なのが隔離と拘束の観察記録です。

隔離は30分毎、拘束は15分毎に観察しないといけない項目を入力しなければなりません。複数受け持っている患者の日常生活支援や諸々の介助をしながらの15分・30分毎の入力は非常に大変です。

最後に

以上が精神科病棟の主な仕事内容と僕が感じている大変なことになります。精神科病棟で働くにあたり確かに危険な目に合う可能性はあります。

ただ、その可能性はきちんとルールを設けることで低くすることができます。僕の病院(病棟)では「保護室に入院している患者や興奮している患者の対応は必ず複数名で対応する」というルールがあります。僕はそのルールを守ってるので実際に怪我をしていません。

なので精神科病棟で働くに当たってはそこの病棟のルールには何があるのかを把握し行動することを心掛ければ不安なく働けるかな思います。

また、もう1つ伝えたいことは精神科の患者さんはきちんと治療をすれば社会復帰できる可能性が高いということです。入院時は不穏・興奮が強くても僕たちがきちんと治療と日常生活の支援を行なっていけば社会復帰をさせることができます。

なので精神科の看護師の役割は非常に大きいと思います。

是非とも精神科に興味を持っていただき、患者さんの社会復帰のために支援できる看護師が増えることを願っています!

訪問ありがとうございました(`・ω・´)

 

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