どうも皆さん、おしです!
今回は普通の看護大学を卒業した看護師(社会人)が国公立大学医学部に編入できるかということについて検討してみました。医学部編入って何?っていう方もいると思うので、まずは医学部編入について少し解説します。
医学部編入とは
医学部編入とはセンター試験⇨各大学の試験といった一般的な入試方法とは違い、他の大学を卒業し「学士」を持つ社会人が医学部編入試験を実施している大学に2年次もしくは3年次から編入(入学)するという方法です。
医学部編入を行なっている大学は国公立で31校、私立で4校と計35校が実施しています。試験内容は①書類審査→学科試験→面接(集団討論含む)のパターンか②学科試験→面接(集団討論含む)が主流となっています。
学科試験は個々の大学で実施内容が違いますが概ね自然科学、生命科学、英語、数学、物理、生物などがあり小論文を科す大学もあります。
医学部編入を行なっている大学と個々の大学がどのような試験を実施しているかを下にまとめてみました。(参考:河合塾KALSホームページ)
国公立大学
北海道・東北
大学名 | 一次試験内容 | 二次試験内容 | 編入年次 |
旭川医科大学 | 生命科学、英語 | 集団面接、個人面接 | 2年次編入 |
北海道大学 | 生命科学総合問題 | 課題論文、面接 | 2年次編入 |
弘前大学 | 基礎自然科学、数学 | 自己推薦書に基づく個人面接 | 2年次編入 |
秋田大学 | 書類審査 | 小論文、生命科学 | 2年次編入 |
関東
大学名 | 一次試験内容 | 二次試験内容 | 編入年次 |
群馬大学 | 小論文I、小論文II | 面接 | 2年次編入 |
筑波大学 | 学力試験(1)、学力試験(2)、適性試験(1)、適性試験(2) | – | 2年次編入 |
千葉大学 | 英語、生命科学・自然科学、小論文 | 面接 | 2年次編入 |
東京医科歯科大学 | 自然科学総合問題 | 面接 | 2年次編入 |
中部
大学名 | 一次試験内容 | 二次試験内容 | 編入年次 |
新潟大学 | 自然科学系および生命科学系(数学・物理、化学・生物) | 面接 | 2年次編入 |
富山大学 | 課題作文、総合試験 | 口頭発表、面接 | 2年次編入 |
金沢大学 | (第一次選考)書類選考 | (第二次選考)生命科学 (第三次選考)個別面接 |
2年次編入 |
福井大学 | 自然科学総合(生命科学) | 面接 | 2年次編入 |
浜松医科大学 | 生命科学、英語 | 小論文、面接 | 2年次編入 |
名古屋大学 | 英語、生命科学を中心とする自然科学 | 小論文、面接 | 3年次編入 |
近畿
大学名 | 一次試験内容 | 二次試験内容 | 編入年次 |
滋賀医科大学 | 総合問題、英語 | 小論文I、小論文II、個人面接 | 2年次編入 |
大阪大学 | 物理、英語、化学、生命科学 | 小論文、面接 | 2年次編入 |
神戸大学 | 生命科学と英語の総合問題 | 口述試験 | 2年次編入 |
奈良県立医科大学 | 学科試験(英語、数学、理科) | 面接(口頭試問) | 2年次編入 |
中国・四国
大学名 | 一次試験内容 | 二次試験内容 | 編入年次 |
鳥取大学 | 個別学力試験(基礎科学)、個別学力試験(英語)、面接 | – | 2年次編入 |
島根大学 | 外国語(英語)、自然総合問題 | 面接 | 3年次編入 |
岡山大学 | 書類審査 | 生物学、科学英語、面接 | 2年次編入 |
山口大学 | 学科試験、小論文試験 | 面接 | 2年次編入 |
香川大学 | 自然科学総合問題 | 面接 | 2年次編入 |
愛媛大学 | 英語、自然科学総合問題、小論文 | 面接 | 2年次編入 |
高知大学 | 総合問題A・総合問題B | 面接、グループワーク | 2年次編入 |
九州・沖縄
大学名 | 一次試験内容 | 二次試験内容 | 編入年次 |
長崎大学 | 生命科学系科目、英語 | 小論文、面接 | 2年次編入 |
大分大学 | (第1次選抜)書類選考 | (第2次選抜)生命科学に関する総合問題、英語 (第3次選抜)個人面接、集団面接 |
2年次編入 |
鹿児島大学 | 学力試験Ⅰ、学力試験Ⅱ | 個別面接 | 2年次編入 |
琉球大学 | 小論文Ⅰ・Ⅱ、自然科学総合Ⅰ・Ⅱ | 個人面接 | 2年次編入 |
私立
大学名 | 一次試験内容 | 二次試験内容 | 編入年次 |
岩手医科大学 | 学科試験1・学科試験2、小論文 | 面接 | 3年次編入 |
日本大学 | 英語(論文形式を含む筆記試験)、適正試験、面接 | – | 2年次編入 |
北里大学 | 数学、理科、英語 | 論文、面接、健康診断 | 1年次9月編入 |
東海大学 | 英語、適性試験 | 個人面接 | 1年次10月編入 |
金沢医科大学 | 英語、数学、小論文、グループ面接 | 1年次後期編入 |
普通の大学出の看護師(社会人)は医学部編入ができるか
結論から言いますと、普通の大学出の看護師(社会人)が医学部編入を利用し医学部に入ることは不可能ではないが限りなく0%に近いという結論に至りました。その内容について解説していこうと思います。
看護師をやっていると(看護師だけでなく一般的なサラリーマンの方などもそうだとは思いますが)、スキルアップや収入アップのためにステップアップの方法を色々考えると思います。
僕も看護師7年目となり、色々ステップアップのことを考えるようになりました。看護師のステップアップ方法として一般的なものとしては
①出世する
②認定看護師や専門看護師を目指す
③NP(ナーシング・プラクティショナー)になる
④特定行為研修を受ける
⑤医療機器メーカーなどに転職する
などがあります。他にも保健師や産業看護師などになるといった方法もありますね。
ただ、やはり普段病院で医学に触れている中で看護師ではできない部分が多かったり、より医学を深めたいという思いにもなるわけなんですよね。なので難関と言われている医学部へ進学し医者になるってことも考えることがあります。
そういったことを考えている中で上で説明した医学部編入の制度を知ったわけです。
では、その実際はどうでしょうか。一般的な入試でもセンター入試で8〜9割取って、かつ各大学の試験に合格しなければならない難しい医学部進学に、臨床経験がある看護師は医学部編入ができるものなのでしょうか。
そう、それは先ほども言いましたがほぼ不可能なんですよね。
その理由は大きく2つあります。
まず1つ目は書類選考の時点で難関大学出身ではない人は落とされるためです。医学部編入は5人や10人の募集枠に対し10〜20倍もの人、つまり50人〜200人の人が受験します。
その中にはいわゆるFラン大学と言われるような大学出身の人もいるかもしれませんし、逆に日本のトップ大学である東大、京大、早慶大などを出た人たちもいるわけです。
では、大学としてはどの大学を出た人を取るのでしょうか。それは当たり前ですがトップ大学を卒業した人を取りますよね。これは一般企業での就職でも同じことが言えると思います。
どんなに医者になりたい理由が素晴らしくて医者になることを熱望していても出身大学がトップ大学でなければまず一次試験の時点で落とされるでしょう。
そして2つ目は、1つ目と繋がることではありますが確実に医師国家試験に合格し日本や世界の医療に貢献できる医師になることのできる素質を持つ者を入学させないといけないためです。
医学部を目指している人なら知っているかと思いますが、私立大学医学部の学費は恐ろしいくらい高額です(大学により違いはありますが一般的には卒業までに何千万といったお金が必要になります)。つまり、医者になるためには非常にお金がかかるということです。
国公立大学であれば医学部の学費は私立大学に比べて圧倒的に安いです。調べた限りはおおよそ10分の1くらいに抑えられます(6年間で400万~500万円程度)。
では、国公立大学はなぜ安いのでしょうか?それも皆さんご承知だとは思いますが国や地方がお金を出して大学を経営しているからですよね。学費のほとんどは国や地方公共団体が負担し、一部だけを学生(や親)が支払っているわけです。
つまり国公立大学医学部に入学するということは国や地方公共団体からの投資を受けて医者を目指すといっても過言ではないということです。国としても大学としてもその投資をするわけですから、それだけ価値のある人に入学してもらいたいわけです。
では、普通の大学出の僕たちにそれだけの価値はあるでしょうか?医者になりたいという気持ちには価値はあるかと思いますが、やはりトップ大学の人たちと比較したら”その人に投資する”という意味では価値は下がってしまいます。
上記のことから、僕たち一般大学出の看護師(社会人)では医学部編入制度を利用した医学部入学は”不可能ではないが限りなく0%に近い”という結果に至りました。
かといって可能性は0%ではない
今まで述べたとおり一般大学出の看護師(社会人)は医学部編入はほぼ0%に近いわけですが、0%ではなく書類選考がなく筆記試験や面接のみの大学を選べばチャレンジする価値はあるかもしれません。
ただ、これについても自然科学や英語は一般的なレベルではなく大学院での研究レベルの問題が出るということなので相当量の学習が必要になることが予想されます。
この相当量の勉強をする時間や覚悟がある人は書類選考のない大学にチャレンジするのもありかと思います。
(書類選考がないといっても、経歴でやはり落とされるかもしれませんが・・・)
看護師が医学部を目指すなら無難に医学部再受験が良い
医学部編入制度というものを知り非常に興味を持ったわけですが、現実的ではないことにショックを受けてしまいました。まぁ仕方のないことですが・・・。
色々なホームページや質問サイトを見て回った限り、東大などのトップ大学出ではない人が医学部へ進学する方法はやはり無難にセンター試験⇨大学の試験といった一般入試(医学部再受験)で勝負する方が良さそうです。
出身大学という土台の違う医学部編入制度よりも皆同じ土台である一般入試で挑んだ方が可能性は高いということです。
もし看護師(社会人)が本気で医学部を目指すなら、これも大変ではありますが国社数英、化学、生物、物理などの高校で習ったものを再学習していきましょう。
まとめ
普通の大学出の看護師(社会人)が医学部編入制度を利用し医学部に入学できるかということについてお話させていただきました。
今高校生で医学部を目指している人や今社会人だけど医者になりたい人の参考になっていただければ幸いです。
あー!!!!僕も東大出身です!って名乗りたいーー!!!!!!!笑