どうも皆さん、おしです!
今日(2019年5月29日)までに看護師特定行為研修の共通科目114コマが終了しました(`・ω・´)。残りまだ3分の1近くあると思うとなかなかに絶望しますがまぁ頑張るしかないから頑張ります(笑)
さてさて今回のテーマは“診療看護師(ナーシングプラクティショナー/NP)”についてです。
僕が考えるに、おそらく看護師としてのステップアップの方法として最も難関でたくさんの勉強量が必要となるのが診療看護師の道であると思っています。看護師の中でも卓越した知識と技術を持ち医師のサポートをする診療看護師は正にミニドクターといっても過言ではないのかなと思います。
ただ、アメリカのNPの制度と日本のNPの制度は大きく違いがありますので、そういった話も交えながらお話ししていこうと思うのでよろしくお願いします!
診療看護師(ナーシングプラクティショナー /NP)とは
診療看護師(以降、NP)とは、アメリカで始まった上級看護師の制度のことで、看護師として一定以上の職務経験を積み、かつ大学院において必要な学位を取得し試験に合格することにより、NP資格を得ることでNPを名乗ることができるようになります。
日本においても、日本NP教育大学院協議会が認定するNP教育課程の大学院にて2年間の医学教育や看護学、特定行為を修めた看護師のことを指します。
要は看護学+医学に長けた看護師で、看護の視点と医師の視点を兼ね備えた看護師ということになります。
ただし、アメリカのNPと日本のNPには決定的な違いがあります。
アメリカのNPと日本のNPの違い
アメリカのNPの制度は医師のいない地域(日本でいう無医村)において医療を担保するために作られました。医師の指示なしに初期診療をしたり、手術はできないものの診断や処方・投薬などが行え、開業権も持ちます。
またアメリカの保険制度は日本のような国民皆保険制度(3割負担)ではなく民間保険であるため収入により受けられる医療に格差があります。なので収入が低い人や軽い診療を受けたい場合にはNPの医療を受けるといった形になります(医療コストの軽減という目的もあるようですが)。
一方で日本のNPは医師の指示(手順書)のもと特定行為(21区分38行為)は行えますが、診断を下すことはできず処方権も持ちません。もちろん開業権もありません。
要はどれだけ医学的知識があっても医師の指示(手順書)無しでは何もできないという訳です。
自由度という意味では圧倒的にアメリカの方が高く、日本は“医師の指示(手順書)のもと”という制限が付きまといます。
これは医行為というものに日本国が慎重になっていることや日本医師会がNPの制度に反対していることも理由としてあげられると思います。
日本医師会は日本のNP制度に対し“日本の医療に優先すべきは医師の確保であり、医師の仕事量を減らすことを目的に看護師に医行為の一部を担保することは患者へ不利益を与えかねない”という結論を出しています。
・・・ということを解説してしまうと(っていうか上記で書いた内容は事実ですが)日本のNP制度にマイナスなイメージを持ってしまった方もいるかもしれませんが、日本のNP制度自体はまだ始まったばかりの制度ですし今後できることが拡大していく可能性も十分にありますので”NPなんて!”とは思わないでください!笑
実際に大学病院などでは診療看護師が活躍していますし、特定行為研修での講義の中では看護師に期待を抱いている医師もたくさんいるようなので(要は日本医師会の答えが医師全体の声じゃないってこと!笑)。
診療看護師になるには
日本NP教育大学院認証の大学院を卒業/NP認証試験に合格
では具体的にNPになるにはどうすれば良いかを解説します。最初の方にも少し解説しましたがNPになるには日本NP教育大学院協議会が認定するNP教育課程の大学院にて2年間の医学教育や看護学、特定行為を修めNP認定試験に合格することでNPになることができます。
ただしNP教育課程の大学院を受けるためには5年以上の看護師経験が必要になります(一部の大学院では3年以上でも受けれらるようですが)。
また専門看護師は働きながらも夜学などで修学することでなることができますが、NPはフルタイムで学習をしなければならないので休職もしくは退職して大学院に通う必要があります。
日本NP教育大学院協議会が認定している大学院は下記の9校です(意外と少なかったです)。
大学院に受かるための学習や医学を深めるための覚悟、休職・退職する覚悟が必要となるため、そのような覚悟を決めてから受験する必要があります。
5年毎に更新する必要あり
NPになったらずっとNPでいられるかというとそうでもなく、5年ごとに更新する必要があります。とは言っても試験などではなく実績や臨床での実践時間を申請するだけのようです。
診療看護師の働き方
日本のNPは医師の手順書(後で解説します)の指示のもとで21区分38の特定行為(これも後で説明します)を実施することができます。
この特定行為の中身の多くは”心嚢ドレーンの抜去”や”動脈血採血”、”呼吸器の設定変更”など主に外科領域や集中治療室などの領域で実践できる内容のものがほとんどなので、NPのほとんどは主にそういった外科、ICU、OPE室などの領域で医師の手順書に従い特定行為を行うといった活躍をしています。
手順書とは
手順書とはAさんという入院患者さんに対し作成する文書のことで、その文書の中にはAさんに対し実施する特定行為の内容などが書いてあります。具体的には下記内容のものを医師に作成してもらいます。
特定行為とは
特定行為とは、本来医師しか行うことのできない医行為のうち、絶対的医行為を除いた一部の医行為(特定行為)のことを指します。
下記画像の示すB1、B2に含まれる内容の医行為は侵襲度が高かったり、判断が難しいような内容の医行為は本来医学的知識のある医師でしかできません。しかし、NPは下記の画像のうちB1もしくはB2に含まれるような医行為を医師の指示(手順書)のもとであれば実施することができます。
可能な行為は21区分38行為
令和元年(2019)時点で受けられる特定行為の種類は下記に示す21区分38行為になっています。
画像を見てわかるかと思いますが、内科系の特定行為もありますが、どちらかというと外科系や集中治療室などで活躍できる行為の方が多いです。
NPはそういった領域で医師の手順書のもと38行為を実施することで活躍しています。
診療看護師の給料
NPのお給料について解説します。アメリカのNPは開業権を持ち、診療や処方なども行えることからかなり高給です。年収はおよそ1,000万円あり、日本の医者に近いお給料がもらえます。
では日本のNPはどうでしょうか。実は、悲しいことに学習量や更新制の割にはそこまで多くはもらえないようなんです。
国立病院機構の看護師募集要項を見るとNP手当は6万円/月もらえます。おそらく他の病院でも5〜6万円程度の手当はつくでしょう。
額だけみたら確かにかなりの昇給に見えますが、正直5万〜6万円であればであれば僕の1ヶ月の夜勤手当と一緒の額なんです。NPがこの手当以外に夜勤手当が出るのであればもう少しお給料は上がるでしょうが、それでも学習量にあったお給料とは言えないような気がします。
ただ、NPの扱いによっては話は変わってくるかもしれません。普通の看護師は一般的に看護部に所属します(一般的に副業禁止)。医者は医学部や各医局に所属しています(医者はだいたい副業OK。というか外勤/副業で稼いでるようなものなので)。
一方でNPの所属は病院毎に違います。看護部所属のところもあれば医局に入局しているような場合もあります。宙ぶらりんのところもあるでしょう。これはNPの立場が曖昧だからってことが原因になるのですが、要は何が言いたいかというと、NPの扱いが医学部系であれば副業がOKになるかもしれないということです。
NPは外科系やICU領域だけでなく在宅領域でも活躍できる医行為を行うことができます。つまり外勤扱いで訪問診療のようなことができるようになれば副業的にお金を稼ぐことができるようになるかもしれません。
というのは今の所僕の妄想なのですが、もし僕の妄想が現実的になり、年収が200〜300万でもアップできるのであればNPの道はかなり選択しやすくなると考えています。
お金の話が前面に出てきていますが、いくらスキルアップのためとはいえ、医学を極めより高度なことをする訳ですからそれに見えったお給料アップもしくは副業許可などの対応をしていただきたいというのが僕の願いであります(笑)。実際医者はそれなりのお給料をもらっているのですから・・・。
最後に
診療看護師(NP)についてまとめてみました。アメリカのNPとは違い制限の多い日本のNPですが、それでも活躍ぶりを見る限りミニドクターと言えるでしょう。
ちなみNPの多くはナース服ではなく専用のスクラブに変わることが多いようで、それがまたかっこいいです(笑)。
僕はNPの道ではなく特定行為研修を受けていますが、もしNPの活躍範囲が広がり、かつお給料もアップするようであればNPの道も考えたいと思っています。かっこいいスクラブも着たいですしね!笑